No. 531回   鈑金の達人!!

過去に、”鈑金” 職人を ”サムライ” だと思っていた時がありました。
その一瞬の間も許さない ”技” (ワザ) に挑む冷徹な眼差は、正に”サムライ”のような威厳を感じたのです。
この時代の職人さんたちは、長年、”鈑金/修理” を重ねて、「我、達人なり」 と思い込んでいる方々が多いようでした。 そして、排他主義的な頑固一徹な方々ほど寡黙でそばに近寄りがたい殺気を感じたものです。 ( ちょっと、飛躍した表現となりましたが・・・・)
 
クルマの鈑金/修理で卓越した技術を極めても”達人”と称されるような ”評価基準” などはないのですが、それぞれの職場で、信念と誇りを込めた ”仕上り” が、お客様から、高い評価が得られれば、その職場においては 「達人」 として讃えて上げるべきだと思っています。 
 
 
自動車販売から鈑金塗装業に参入した経緯からして、”鈑金/塗装職人さん” に全てお任せざるをえない”状況”であったのです。それゆえ、過去に10数人以上のバリバリの鈑金職人との出会いを繰り返してきました。  その中に、正に ”達人” と讃えるべき職人に出逢えたのです。
 

25年にもわたって弊社の鈑金部を支えてきた功労者であり、 そして、この人こそが ”鈑金/修理術” の達人だと誰もが認めていたのです。
技術面においてももちろんのことですが、前述したような、本人自身が「我、達人なり」 という素振りは見せず、常に謙虚な人間性が何よりもその証だといえるのです。
どんな破損状態のクルマでも、まず、鈑金/修理によって修復をトライする姿勢を貫き、それが彼自身のスピリットであり職人として誇りのようにみえました。

 
 
本来、鈑金とは、エクボ程度の凹み、スリキズをから、大破して原型をとどめない車両を復元するまで多岐にわたって行います。 どんな状態のクルマでも彼の手に係ったならば必ず復元して”戻してくれと思っていたのです。
 
 
達人” としての”エピソード” ”自慢話”は数々ありますが、どんな困難な仕事でも妥協せず完璧な仕上り めざすことを長年にわたり頑固一徹を貫いていました。
小生と同年代であり、現在は現役を退いていますが、彼のよう ”鈑金” の ”技” を継承するような若き“職人” たちが育っていないのが現状です。
 
車体整備の現況は、些少のキズ、凹みでも交換作業とする傾向となってきています。 クルマの材質、構造上の特質から交換せざるをえないケースもありますが、この時代の流れは職人が ”” をもって修復していこうとする意欲、気力を徐々に削いでいくような気がして、一抹の寂しさを感じるのですが・・・・・ハイ!!

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